こんにちは。所長の永岡玲子です。
会計処理の中でも特に気を使うことが多いのが消費税ですよね。
今一つピンとこない人はこれを見て下さい。
取引を会計ソフトに入力・登録する時。
こういう項目、ありますよね。
消費税の大原則は「日本国内の取引」についてのみ、日本の消費税はかかると
いうことです。(消費税法30条より)
だから、仮に海外への支払いがあればこんな感じになります。(例)
ただ、あなどれないのが最近の「オンライン取引の増加」です。
Zoomで海外企業と打ち合わせ。国境を超えたオンライン取引。
こういう時に「日本国内で行われたかどうか」をどう判定したら良いのやら。
実は最近、そういう質問を受けることが増えてきました。
よって今回は物のやり取りといった目に見える取引ではなく、
「国境を越えたサービスのやり取り」についての消費税について
きちんと整理しておきたいと思います。
少し文章が長くなりますが、そもそもが「ややこしい話」をなるべく分かりやすく
お届けするので、どうしてもこうなります。すみません。
くどいようですが、 消費税の大原則は「日本国内の取引」についてのみ、日本の消費税はかかると
いうことです 。物のやりとりなら「その物そのものがやり取りされた場所」でOK。
では、「形の見えないサービス」がやり取りされるときは?
↓ ↓ ↓
【原則】サービスを提供する側が日本に居れば「日本国内取引」として消費税がかかる
【例外】一定のオンラインサービスについては、サービスを受ける側が日本に居れば「日本国内取引」として消費税がかかる
正直、この「例外」っていうのがあるから…
国境を超えたオンラインサービスの消費税判定をする時に身構えてしまうんですよね。
だって「一定のオンラインサービス」が例外ルールと言っているので。
オンライン使ってればなんでも「受け取り側が基準」だから「消費税込みで」
というわけではないから要注意なんです。
ちょっと強引ではありますが、まずは「伝わらないと意味がない」と思うので
一番「迷いやすい」点を開設してみました!
【最大の疑問;そもそも何がオンラインサービスなのか】
これは考えるの面倒なんですが、避けて通れません。
消費税法 第4条第3項 (課税の対象) を普段の話し言葉に直して一緒に見てみましょう。
(原文確認したい人はこちら)
↓ ↓ ↓
~* ~* ~* ~* ~* ~* ~* ~*
物の引き渡しやサービスの提供などが日本国内で行われたかどうかは、次のケースごとに定める場所が
日本国内にあるかどうかにより判定します。
ただし、ケース3に当てはまる場合について、その「ケース3で定める場所」がないときは、
それは「日本国内以外の地域」で行われたものとします。
ケース1;資産(モノ)の譲り渡し、又は貸し付けという場合
その譲り渡し又は貸し付けが行われる、その時においてその資産(モノ)が所在していた場所
(※カッコ書き省略)
ケース2;サービスの提供である場合(次のケース3に当てはまる場合を除く。)
そのサービスの提供が行われた場所
(※そのサービスの提供が国際運輸、国際通信その他のサービスの提供で“所在場所が分からないもの”として指定されたモノについては、政令で決められた場所を所在地とする)
ケース3;電気通信回線を利用するサービスの提供である場合
その電気通信回線を利用するサービスを受ける者の住所若しくは居所(※)、又は本店若しくは主たる事務所の所在地(※現在まで引き続いて一年以上居住する場所をいう。)
~* ~* ~* ~* ~* ~* ~* ~*
ケース3だけ特殊な感じですよね。
「サービスを受ける者の住所」が判断基準とはっきり書かれています。
そしてこの「電気通信回線を利用するサービス」の意味。
要はそれ自体がネット・オンライン上でないと提供されないようなサービスなら
相手が海外企業だろうが日本企業だろうが関係なくこういう判断になります。
自分が(お金払う側が)日本にいる → 料金は消費税込
自分は海外にいる → 料金は消費税含まれてない(つまりかかってない)
で、ネット・オンラインでないと提供されないようなサービスとは?
実はこれ、かなり具体的に列挙されてます。
法律の表現がかなり古臭いですが、すみません、ここはそのまま引用させて下さい。
消費税法基本通達5-8-3より
電気通信利用役務の提供とは、電気通信回線を介して行われる著作物の提供その他の電気通信回線を介して行われる役務の提供であって、他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供以外のものをいうのであるから、例えば、次に掲げるようなものが該当する。
(1) インターネットを介した電子書籍の配信
(2) インターネットを介して音楽・映像を視聴させる役務の提供
(3) インターネットを介してソフトウエアを利用させる役務の提供
(4) インターネットのウエブサイト上に他の事業者等の商品販売の場所を提供する役務の提供
(5) インターネットのウエブサイト上に広告を掲載する役務の提供
(6) 電話、電子メールによる継続的なコンサルティング
(注) 電気通信利用役務の提供に該当しない他の資産の譲渡等の結果の通知その他の他の資産の譲渡等に付随して行われる役務の提供には、例えば、次に掲げるようなものが該当する。
1 国外に所在する資産の管理・運用等について依頼を受けた事業者が、その管理等の状況をインターネットや電子メールを利用して依頼者に報告するもの
2 ソフトウエア開発の依頼を受けた事業者が、国外においてソフトウエアの開発を行い、完成したソフトウエアについて インターネットや電子メールを利用して依頼者に送信するもの
ここで注目。
「結果の通知」とか「付随して行われるサービス」は 「サービスを受ける者の住所」が日本なら
日本の消費税かかるという例外判定にならないよということが言われてます。
このテーマで、実は少し前に業界専門誌でも取り上げられてました。
ただ単に専門家に何らかのテーマで調べてもらった結果の報告をオンライン会議で受け取るだけ。
それ自体は「継続的な」コンサルティングではないし、ネット・オンライン会議システムは「ツール」として使われただけなだから、そのコンサルタントに払った料金が日本の消費税込みなのかどうかは「原則ルール」で判断してということのようです。
↓ ↓ ↓
【原則】サービスを提供する側が日本に居れば「日本国内取引」として消費税がかかる(←こっち)
【例外】一定のオンラインサービスについては、サービスを受ける側が日本に居れば「日本国内取引」として消費税がかかる
ようやく、オンラインありきのサービスそのものなのかどうか…という判断がクリアできた!
…と思ったら、次はいろんな悩みにぶち当たります。( ;∀;)
そもそも自分の場合、取引相手は海外になるの?日本なの?
よく「リバースチャージ」って聞くけど要はどういうことよ?
日本と海外、行ったり来たりしている人はどうなるの?
こういう時、必ず消費税法そのものの条文、法律そのものの原理原則を念頭に置かないと
必ずさまよいます。
そして、私たち税理士は「解説するだけ」が目的ではなくって、
「解説して理解してもらう」のが目的なので本当に難しい。
なのですみませんが「わが社の場合はどうなるの?」を文章にするのは本当に長くなるので
また機会を改めて動画(当事務所のYouTubeチャンネル)で“プロでも何でもない普通の人”に
わかってもらえるような解説をお届けしようかと思います。
今日は文章ばかりになってしまってすみません。ではこれにて。