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2020年サラリーマン増税?でも個人事業主よりマシ?

皆さんこんにちは。今年もあとわずかのこの季節、
考えるのは “来年から何が変わるのか?”ということでしょう。

 

よくネットの記事で見かけるのがこういう言葉。

 

2020年、サラリーマン増税!
高収入家庭を狙った増税!

 

何のことかというと、要するに年収の高い会社勤めの人からは
もっと税金を取っていきましょうというのが最近の流れなので、
その「2020年サラリーマン増税」も、その1つなのです。

 

で、こんな発想に至る人が出てきてもおかしくないかも。

 

何をおっしゃいますやら。(-_-;)
もちろん個々の事情にもよりますが節税だけを目的に
個人事業主になるのはやめたほうがいいですよ!

 

どうして税理士としての私がそう思うのかって?

 

だって、今回のサラリーマン増税って、要は
「給与所得控除」の額が引き下げられたということでしょう。

 

給与所得控除?

 

それはね、会社勤めの人に認められている特典なんです。
特典、つまり「サラリーマンでも実は認められている経費」
あるということです。
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この「経費」、通勤費とか出張費とか、そういうことではありません。

 

会社行くためにスーツ買ったり靴買ったりするでしょう?
文房具だって、ある程度は自分で揃えたりするでしょう?

 

そして、そういうのは自前で負担しているはず。
だから会社勤めの人の税金はこんな風に計算されているのです。
↓  ↓  ↓

 

この“概算で差し引いてくれる金額”のことを「給与所得控除」と
いいます。この言葉、いろんな記事でよく見かけますよね。

 

今回の「サラリーマン増税」というのは、上記の図でいうところの
概算で差し引いてくれる金額(給与所得控除)が減らされるという
話なんです。

 

そして、減らされるのは給与年収850万円超の人。

 

上記の場合、2019年現在では「概算で差し引く金額(給与所得控除)」は
206万円ありますが、それが2020年からは195万円になるのです。

 

で、話を少しもとに戻して。

 

この860万円という年収、もし個人事業主として受け取ったら
どうなるのか??

 

気になりますよね。税金計算のしくみを横に並べて比較してみましょう。
(※電子申告するので青色申告の特典はフル活用と仮定します。)
↓  ↓  ↓

 

う~ん、経費がどれだけかかるかなんて分からない。
でもこれだと比較にならない。

 

 

じゃあ、もっとリアルに即して考えましょう。

そもそも、概算で差し引いてくれる年間経費が195万円って、
けっこう多くないですか??
↓  ↓  ↓

 

 

 

…昔ならいざしらず、今はけっこう何でも会社側が経費でもってくれる
じゃないですか? ましてやこんなに年収高い人ならなおさらのこと。

 

せいぜい自前経費は月5万くらいが妥当なのでは??と
勝手に推測しました。

 

そしてこの会社勤めの人の手元に実際に残る「手取り」は
いくらなのかも計算してみました。
(40歳以上で扶養家族は0人で計算しています。)
↓  ↓  ↓

 

 

で、これが個人事業主ならどうなるの?という比較をしましょう。
↓  ↓  ↓

 

 

 

スタートは同じ860万円。
使う経費も同じだとすると、手取りはむしろ会社勤めの方が多い感じ。

 

でもここで、こういう発想をする人がいるはず。

 

なるほど。つまりこの比較表のここが変だというわけですね。
↓  ↓  ↓

 

 

 

はい、では月5万円の経費ではなく、月10万円にしてみましょう。
↓  ↓  ↓

 

 

 

市町村を通じて入る国民健康保険が思ったほど安くならない上、
実際に自前での経費が増える=その分お金も減る、なので
当たり前ですが手取りは減りました。

 

 

じゃあ、いっそ売上アップ??
自前経費が5万→10万なので、試しに売上を100万円
増やしてみましょうか。
↓  ↓  ↓

 

さっきより少しましですが、それでも会社勤めの人よりも
少し手取りは少ないですよね。

 

そもそもどうしてこういうことが起こるんだと思いますか?
原因の一つはこれです!
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個人事業税といって、事業を行っている一定の人には必ず
かかってくる税金です。
(ちなみに法人には法人事業税という税金があります。)

 

こうしてみると、会社勤めの人って普段意識しないけど
意外とトクしている面が多いということが分かります。

 

じゃあ、独立開業のメリットはないのか?というと、
それはそうでもないですよ。

↓  ↓  ↓

・働き方に融通が利く
・頑張った分がそのまま自分のものになる
・定年退職という概念がない

↑  ↑  ↑

 

 

この3つ。

 

これが今の職場では絶対に実現できない、転職もできない、
そのうえ自分は必ず「コンスタントに努力を続ける」ことに
自信があるし、なにより自分の仕事が好き!(重要)というなら、
会社勤めをやめて個人事業主という選択もアリでしょう。

 

でも、いっそ個人事業主の方が節税なのでは?という動機だけで
会社勤めを辞めるのは慎重になった方がよいと思います。
(もちろん、業種や個々の事情によりますが)

 

 

でも「個人事業主にならざるを得ない」人が一定数いるのも事実。

 

そういう人は、自分が毎月手元に必要なお金はいくらあるのか、
そのためにはいくら経費が必要で、それならいくら売り上げが必要なのか、
自分の手で計算して計画を練ってから独立しましょう。

 

私はずいぶん多くの方々の独立開業の相談にのり、手続きや税務のお手伝いを
して参りましたが、商売が軌道に乗るまでが大変。

 

 

特に、売上1000万円を超えるようになり、事業税だけでなく
消費税も払うようになった時期くらいで「税の負担感」が
一気にアップすると皆さんおっしゃいます。
↓  ↓  ↓

 

 

 

でもそこを乗り越えれば、創業の苦労を味わった者にしか分からない
とてつもない達成感と喜びがありますけどね。
(苦労は2倍、喜び3倍? なんだか子育てと似てるのは気のせい?)

 

今日は少しいつもより話が長くなってすみません。
<(_ _)>

 

 

本記事で試算した数字の計算式、公開すればもっと分かりやすいと
思うのですが、それをすると小冊子レベルの記事になってしまうので
控えますね。

 

 

では、皆様良い年の瀬をお迎えください。(^^)/

 

 

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