皆さんこんにちは。税理士の永岡玲子です。
コロナウイルス感染拡大で社会全体の活動が低下している中、
こんな時だからこそ書類を整理し、事業の収支もじっくり見つめて
今後の戦略を練るのも1つの過ごし方だと思います。
そこで今日は、本当に本当に多くの方から聞かれる消費税の疑問に
ついてお話しましょう。
※話を分かりやすくするために詳細な説明は思い切って省略し、
例に用いている数字も単純化しています。
そもそも消費税って、こういう仕組みですよね。
↓ ↓ ↓
預かった消費税 - 払った消費税 = 国に納める消費税
でも全部の企業がこれをやっているわけではありません。
たとえ売上代金と一緒に消費税をお客さんからもらってても、
規模が一定以下の小さな企業は、国に消費税を納めなくても良い。
そんな仕組みになっています。
それって、消費税分まるもうけ??
…いえ、違います。
確かに若干トクはしていますが、消費税分「丸ごと」トクをしている
わけではありません。下の図を見て下さい。
↓ ↓ ↓
売上の本体価格は5,000万で、経費も消費税がなければ4,000万。
消費税のない世界だとすると利益は1,000万円ですよね。
でもお客さんからは売上代金と一緒にもらっていますし、
自分自身も仕入れ代金や経費を払う時には消費税のっけて払ってます。
その差額(500万-200万)である300万円は本当なら国に納める
消費税なのですが、「納めなくていい」ので、自分自身の
利益の一部になっています。
これを見ると、消費税を払わなくていい小規模な企業って
トクしてるよねという理屈も分からなくもないです。
ただ、こういう現象が起きていることもお忘れなく。
消費税分もうけたといっても、それが「もうけ」である以上、
法人税や所得税といった「もうけに対してかかる税金」は
払う必要があります。
で、ここから先が問題。
ちょっと長くなるけど、大事なことです。
では消費税を払うようになったら、どういう姿になるのか?
・・・こうなります。
↓ ↓ ↓
消費税はあくまで「他人から預かった税金」を払うもの。
そういわれると「じゃあ売上と一緒に預かった500万円まるごと」を
国に納めるのかと誤解されますが、そうではありません。
自分が払った仕入や経費等ですが、払ってもらった側にとっては
それは「売上」なので、自分が仕入れや経費等と一緒に払った
消費税200万円はその取引先側で国に納めてくれます。
※参考過去記事
で、話をもどしましょう。
要するに、消費税を払う企業となったら、その消費税の納税義務の分は
ちゃんと分けて考えてもらえるということです。
↓ ↓ ↓
分解して考えるとこうなります。
↓ ↓ ↓
なので、初めて消費税を払う事業者となった企業の場合、
消費税の支払いがいきなりドンとくるので負担感はあるのですが…。
今までは利益に乗っかっていた「払わなくていい消費税の分」だけ
利益が減りますよね。その分、法人税等といった儲けに対してかかる税金は
少なくなるという事が多々あります。
よって「消費税を納めなくてよい企業」は、お客さんから預かった消費税を
「丸ごと」トクしているわけではないが、やはり若干のトクはしていると
いうことが言えます。
ここで一息。
そもそも何で「消費税を納めなくてよい企業」というものが
制度として堂々と存在するのかと疑問に思った方いませんか?
これは消費税という税金が世の中に導入された当時、
「小規模な事業者への事務負担」への配慮があったというのが
理由の1つだそうです。
これだけIT化が進んだ今、意味あるのかなとは思いますが…。
それに「インボイス制度」が本格化すると、消費税を納めなくてよい
いわゆる免税事業者が取引の上でも不利になるシーンが多発すると
言われています!
※参考過去記事;
今は会計ソフトが格段に使いやすく進歩していますし、情報もすぐに
手に入るので会計・経理の事務負担は確実に昔より減っています。
ですが!
どんなツールも正しく使われてこそ、意味を持ちます。
自己流で突き進むよりは、せめて最初の方だけでも私達のような税理士に
ご相談頂きたいものです。
そして、会計のことを自分でやってみて「あ、これ無理。苦手!」と
思ったり、「これに時間割くよりは他の事を!」と思ったら
良くできる経理担当を採用するか、税理士に丸投げするかした方が
良いでしょう。
では、本日はこの辺で。
<(_ _)>