皆さんこんにちは。今年もあとわずかですね。
今年は副業を始めたり、その副業を本業にしたり、
あるいは全く新しいことを始めたりした方がいつもより
多かったのかもしれません。
独立起業する場合、法人という形でも個人事業主としてでも、
開業届とセットで「青色申告」にしますという届を出すことが
ほとんどです。
なぜかというと、その方がトクすることが多いからです。
そのうちの1つが今日のテーマ。
青色申告だと「年度を超えて」赤字が繰り越し可能!
青色申告じゃない人(※白色申告と言われます)の場合は、
災害の場合に生じた損失などは年度を超えて繰り越せます。
でも、青色申告の人は普通に商売していて設備投資やら経費やらで
生じた普通の赤字を、年度を超えて繰り越せるんです。
中小企業である法人なら10年繰越可能。
個人事業主なら3年可能。
でも、これだけの説明じゃ、ピンとこないですよね。
具体的に、とある法人の場合を例にとって詳しく見てみましょう。
※分かりやすい話にするために詳細な説明を省略している部分があります。
その点はご承知おきください。
2020年に開業したけど、最初は赤字で、
ようやく9年目くらいで黒字になった!というケースです。
※下記で(この期間は省略)とある部分は赤字続きと仮定。)
ここで、さっきの復習。
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年度を超えて赤字が繰り越し可能。
中小企業である法人なら10年繰越OK。
具体的にはこんな風になります。
(図はクリックすると拡大されます。)
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今は赤字だけど、それを将来黒字になった時の額と相殺。
なので「黒字だけど税金はしばらくかからない」ということが
起こります。
これはあくまで「税金を計算するときに」申告書という書類で
相殺して表記するので、会社の経営成績である決算書という書類では
黒字として表示されているままなんです。
更に注意したいのは、2029年がマイナスになるのではないということ。
2029年は300万円の黒字が過去の赤字と相殺されてゼロ。
2020年の赤字(繰り越して使える赤字)が減るという事です。
そしてその次。
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法人の場合、年度を超えて赤字が繰り越せる期間は10年です。
なので、これもOK。そして当然、決算書も下記のようになります。
↓ ↓ ↓
問題はその次。こうなります。
↓ ↓ ↓
2020年の赤字は「11年前の赤字」なので、
相殺しきれていない赤字が残っていても使えません。
なのでこの場合、2031年は100万円黒字として
税金が計算されていきます。
さて、ここでいったん、振り返ってみましょう。
2020年に出た多額の赤字はこういう顛末をたどりました。
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ただ、10年って結構長いので、たいていの場合は
起業した最初の年の赤字は10年以内には軌道に乗ってきた年の
黒字と相殺され、使い切られる感じです。
ただし、個人事業は「赤字を繰り越せる期間」が法人と違って
3年と短いので、その点はお忘れなく。
※こういうことがあるから「法人の方がいい!」という人もいます。
少し長くなりましたが、ご容赦を。
繰り越した方が良いものは、来年に。
繰り越ししない方が良いものは、今年のうちに。
皆様、良いお年を。
<(_ _)>