皆さんこんにちは。税理士の永岡玲子です。
何でもオンラインでとなると、必然的に増えてくるのが
ネット販売ではないでしょうか。
でも問題なのはその「会計処理」!
売上代金もウェブで明細が分かるし、入金は通帳だし、
会計処理も簡単でしょ…と思いますか?
いいえ、かなりの確率で多くの人が
間違えている大事なポイントがあります。
通帳に入金された額そのままで売上高と
してしまっていませんか?
なぜその方法(入金額=売上)ではダメなのか。
今からそれを実務の現場から解説して差し上げましょう。
少し例が古いですが、下記は実際にAmazonで物を売った
事業者の売上明細です。
(※実際の数字等は隠して数字を置き換えています。)
↓ ↓ ↓
販売手数料が差し引かれた額が「振込額」ですよね。
でも会計ソフトに売上高として入力するのはこの部分です。
↓ ↓ ↓
何でこういうことをするのかというと、消費税の納税義務判定という
大事な問題があるからです!
“基準となる期間”の売上高が1000万円を超えているかどうか。
超えていなければ、たとえ売上と一緒に消費税を預かっていても
その消費税は納税しなくてOK。
※注;他に特定期間の給与額という判定基準もありますが、
話が長くなるので説明は省略します。
超えていれば納めるべき消費税を計算し、納税しないといけません。
もちろん、その消費税についての申告書を所得税や法人税の申告書とは
別に作成する必要があります。
このように“基準となる期間”の売上高が1000万円を
超えているかどうかが消費税を納税する事業者になるかどうかの
重要なポイントになりますが、その時の売上高というのは?
これは販売手数料などの経費を差し引く前の売上高と
決まっています。
なので、売上は売上、手数料は手数料として会計ソフトに
入力されている必要があるのです。
仕訳の形で見ると、こんな風に入力されていればOK。
(会計ソフトでいう「仕訳帳」もしくは「振替伝票」表示での形です。)
↓ ↓ ↓
なお、ネット販売の売上って、わりとすぐ入金されることが多いのですが
月度・年度をまたいで入金されるような場合、上記のように
「売掛金」という科目を使って処理しましょう。
こうしてみると、かなり面倒くさいような印象を受けますが、実は、
クラウド会計ソフトはネット販売のサイトの情報を
自動的に取り込んでくれます!
実際に自動連携した後の取引を見てみると、こんな感じになって
いました。(下記はfreeeとAmazonの自動取込例)
↓ ↓ ↓
めっちゃ便利ですね。
ただ、販売サイトによっては手数料部分がそもそも表示されていない
ようなものもあるようです。
よって、上記のようなサイトの売上データをテキストファイル等で
読み込むとしたら、自分で1か月分の手数料を計算するなどして
支払手数料(1月分)××× / 売上高 ×××
という仕訳を会計ソフトに手入力すると良いでしょう。
※左側に支払手数料、右側に売上高を入力。仕訳日記帳(仕訳帳)や
振替伝票などの画面から入力します。
少し面倒くさい。それでも、
メインとなる取引は自動取込してくれるというのは
たいへん有難いですよね。
freee、マネーフォーワードの例でいうと、自動データ連携している
サイトが一覧で表示されていますし、設定も簡単です。
↓ ↓ ↓
もちろん、インストール型の会計ソフトにもネットバンキングや
クレジットカードの取引を自動取込してくれる機能はあります。
ですが、こういうネット販売のサイトと直接、しかもストレスなく
つながってくれるのはクラウド会計ならではのもの!
手入力といった作業はなるべく効率化・省略可して、
経営者本来の業務に集中し、先が見えない世の中を
乗り切っていって下さい。
では、今日はこの辺で。