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決算書に書いてある「租税公課」って何?

皆様、こんにちは。税理士の永岡です。

 

最近特に思うのが、起業される方が多くなったな…ということと、
同時に、最初は税理士にがっつり頼むお金がないから自分で経理という
人からのお問い合わせが多くなったような気がします。

 

当事務所が「単発の有料相談」というのをやっていて、しかも
その相談料のクレジットカード決済に対応しているからでしょうか。

 

ただ、この単発の有料相談ですが、2月~3月といった確定申告の締切が
迫っている時期になってしまうと、相談日の予約をお取りできない
ことが多々あります。

<(_ _)>

 

なので、今のうちに初心者さんが「間違えやすい」そして
「大事な」ポイントのうちの1つをご紹介しましょう。
(※あくまでも数あるポイントのうちの1つですが。)

 

それがこちら。

 

個人事業の方が確定申告の時に、申告書という書類と一緒に提出する
決算書ですが、こんな項目があります。

 

租税公課、とあります。

 

法人の方が決算書を作って税務署に出すときも、この
「租税公課」という項目はあります。

 

法人の場合、「このフォームで出しなさい」というものがそんなに
厳密でないので使っている会計ソフトによって書類のレイアウトや
雰囲気は若干違います。

 

 

租税公課というのは経費項目の一種です。
収入印紙を買ったときや、自動車税や登録免許税などの

 

「経費として扱っていい税金」

 

を支払ったときに、この勘定科目を使います。

 

 

実はこれ、けっこう初心者にとって難しいのです。
(私も新人の頃、何が何だかさっぱりでした…。)

 

だって税金と名の付くものを支払ったときに、何でもかんでも
「租税公課」という項目で処理してしまうと大変な間違いですから。

Σ(・□・;)

 

例えば、個人事業主の方。
確定申告をした結果、払う自分の所得税は?

 

決算書で、売上から経費を引いた結果が「利益」です。
その「利益」に対してかかっているのが所得税なので、それを
ふたたび経費の中に入れてしまうと変ですよね。

 

なので、払ったときは「事業主貸」という項目を使いましょう。
(プライベートな支出や引き出し、という意味の項目です。)

 

「いや、ウチは個人事業主じゃなくて株式会社です。」という場合。
利益に対して払うのは法人税です。それは租税公課ですか?というと…。
いいえ。

 

 

多くは「未払法人税」や「法人税、住民税及び事業税」などという
項目で処理します。

 

実は法人の場合「租税公課」で処理してしまったとしても、
“決算書には経費って書いたけど、税金計算では経費から外すよ”
という計算シートをつけるので、法人税等を絶対に「租税公課」に
してはダメですか? といわれるとそうではないこともあるのですが…。
(※ややこしいのでこの説明は深入りせずにおきます。)

 

では住民税は?

 

 

住民税って、そもそも所得税の計算に連動して金額が決まるので
確定申告して払った所得税と扱いは同じです。

 

その住民税ですが、自分は株式会社の社長ですという場合。

 

 

やはり「租税公課」にしてはいけません。

 

5月に、会社宛てで自分の住民税(市県民税)のお知らせが
「特別徴収関係書類」という比較的大きめの封筒に入って届いた
という人は、その住民税を払ったときは「預り金」で処理しましょう。

 

一方、6月に自分宛てに(つまり自分の個人名に宛てて
住民税の通知が市役所から小さめの封筒で届いたよという人は、
その住民税を会社のお金から払ったのなら「短期貸付金」にしましょう

 

※もし個人の現金や個人名義の口座から払ったのなら
会社の帳簿には、何も書かなくて良いです!

 

 

法人の場合、たとえそれが自分1人しかいない株式会社でも、それが
「株式会社」である以上、自分個人のお金とは区別するという考え方が
あるのでこういう処理になります。

 

ついでに言うと、例えば従業員の給料から天引きして(差し引いて)
預かった所得税や住民税を払うときも、決して租税公課という
項目で処理してはいけません。
(これは法人でも個人事業主でも同じです。)

 

 

ここまで読んで、じゃあ租税公課って何のためにある科目?と
いう疑問が生じますか?

 

 

あまり難しく考えないで下さい。
要は「利益」や「所得」に対して直接課せられるような税金は
租税公課にしない、ということなんです。
(#^^#)

 

なので、利益に対して課税されるのではなく、売上や仕入、経費などの
性質によって課税される消費税はこうなります。
(法人組織でも個人事業でも同じです。)

 

 

確定申告(決算)の時に、どんな消費税の集計計算方法を採ったかで
2通りの正解があります。

 

前回の決算書で未払消費税等という項目を使って、
支払いは次の年度になる消費税の金額を前もって決算書に
織り込んだ人は、その消費税を払うときは「未払消費税等」で。

 

一方で、そういう処理をしていなかった人は消費税を払った
その時に「租税公課」で。

 

すみません、これも簿記の理屈で仕訳の形で解説した方が良いのですが
それはやめときます。(長くなるので。)

 

 

そして、ある程度の利益が出ている個人事業主さんが
忘れてほしくないのが個人事業税という税金。

 

8月ごろに都道府県税事務所から請求がきます。

 

法人なら、法人税と一緒に計算して同じ時期に払うのですが、
個人事業の場合は、住民税も健康保険料も払って一息ついたころに
別途、請求がきます。((+_+))

 

ほんと、ややこしいですね。
もうしばらくお付き合い下さい。こういう税金もありますから。

 

意外と自動車税登録免許税などは皆さん、忘れずに租税公課として
経理しておられるのですが、固定資産税などは住民税とよく似た感じの
封筒で、送られてくる元も市役所だから「租税公課」として
経費にできる部分の金額があるにもかかわらず、忘れられがちです。

 

 

かなりくどい説明になってしまいましたが、これで何となく
お分かり頂けましたでしょうか?

 

…やっぱり分からない!!という人へ。
早めに税理士へ相談して下さい。

 

そして、ある程度事業の規模が大きくなって資金に余裕も出てきたら、
経理処理そのものを税理士事務所に任せて自分は売上や利益の報告を
受け取るだけ、という状態にすることをお勧めします。

 

本業に専念した方が、事業は順調に成長しますよ。
(^_-)-☆

 

では今日はこの辺で。