投稿日:2026.07.19 最終更新日:2026.07.20
【10月の消費税新ルール】また複雑化!クラウド会計でとりあえず解決、デジタルインボイスに期待?
10月。消費税にまた「新たな改造」があります。
根本的な改変ではありません。
現在のインボイス制度に既にある
「経過措置」についての新ルールです。
ただ、実務の現場には「確実に影響あり」です!
ー 目次 ー
0. 実は期間限定で手加減されているインボイス制度
1. インボイス無しの相手なら8割控除→10月から5割…のはずだった
2. あえてインボイス取ったなら2割納税でもOK→10月からはダメ…のはずだった
3. 2割納税の翌年、「簡易課税にする」申請期限は年度末…のはずだった
4. 複雑化した消費税処理はクラウド会計で乗り切ろう
5. そもそも「デジタルインボイス」が普及すれば爆速?(普及すればね)
5-1. 現状
5-2. 他の国ではどうなのか
ーここから本文ー
0. 実は期間限定で手加減されているインボイス制度
※初心者向け解説なので分かっている人は読み飛ばして次へ進んで下さい。
消費税はそもそも、売上・収入で預かった消費税から
経費・設備投資等で払った消費税を差し引いて、
その差額を税務署に払う税金です。

問題はこの「(b)払った消費税」です。
その消費税をきちんと払った取引だということを
証明しないといけません。
利益を計算する場合、つまり所得税や法人税なら
領収書などで経費の額そのものが分かれば十分な
ケースが多いです。
でも消費税を計算する場合、金額だけではなく、
「支払先のインボイス番号の有無」も証明しないと
ダメなんです。

そうなると、消費税の申告をしていない
会社や事業主にとっては、下の図のように
「不利な場面」があると想定されます。

いきなりこれだと変化・影響が大きすぎる!
ということで…
インボイス制度スタート時に、2つの経過措置が
登場しました。つまり「期間限定の手加減」です。
↓ ↓ ↓
1つめ。
インボイス無しの小規模事業者に「払う立場の企業」を救う経過措置。
2つめ。
あえてインボイス取得した「小規模事業者」を救う経過措置。
この2つの経過措置、図にするとこんな感じです。
(分かりやすくするために超単純化しています)
1つめの経過措置。

2つめの経過措置。

実はこの2つの経過措置の内容、2026年10月から
少し変更されます。それが本日のブログの本題、
【10月の消費税新ルール】なのです。
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1. インボイス無しの相手なら8割控除→10月から5割…のはずだった
8割控除という経過措置。
当初は「5割」に縮小予定でした。
でも、税制改正で「7割」に見直されたのです。
どういうことかといいますと。
インボイスがある相手に払った費用、2,200円。
利益を計算するときには2,200円まるっと経費になります。
消費税を計算するときにピックアップする消費税は200円です。
(※2026年時点における税率10%という前提です)
インボイスがない相手に払った費用、2,200円。
利益を計算するときには2,200円まるっと経費になります。
これは同じです。
消費税を計算するときにピックアップする消費税はゼロではなく、
期間限定で、200円の8割→つまり160円です。
要するに、この期間限定の「8割」という数字が
2026年10月から「5割」に減らされるのではなく
「7割」に変更されることになったのです。

(出典:国税庁「インボイス制度に関する令和8年度改正について」より)
会計・経理の現場では、会計ソフトにこんな感じで
「経過措置だから消費税のうち8割ピックアップOK」
という区分で入力・取引登録しています。

この(控80)10%、というのが2026年10月からは
(控70)10%、という区分になる。実際の会計ソフトの
入力画面イメージに沿って言うと、こうなります。
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2. あえてインボイス取ったなら2割納税でもOK→10月からはダメ…のはずだった
結論から申し上げます。
法人は予定通り10月から経過措置なしに。
個人は「3割特例」が新設されて期限延長です。
何のこと?とならないために。
さっきの図にもう一度、登場してもらいましょう。

特別な計算方法で納税額が減るとまで言うと
ちょっと説明としては不正確なので補足します。
そもそも、インボイス番号をもらうためには、
自分が消費税の申告・納税をする会社(事業主)に
ならないといけません。
だから自分から進んで消費税の申告・納税をする
会社(事業主)になる。(つまり課税事業者になる。)
そういう小規模事業者さんたちの負担を減らそう!と
いうことで登場したのが「2割特例」という方法です。

この「簡単計算で2割納税という方法を選べる」と
いうのが期間限定の経過措置です。
もともと2026年9月30日までの日の属する
課税期間で終了することになっていました。
これは「2割特例」と言われる経過措置なのですが、
法人は予定通り終了。
個人事業主は「3割特例」になって期限延長です。

(出典:国税庁「インボイス制度に関する令和8年度改正について」より)
上記では例として分かりやすいからなのか、
12月決算という法人が個人との対比で出てますが
法人の年度末(決算月)は12月とは限りません。
この経過措置の終わりは
「2026年9月30日までの日の属する課税期間」
とされています。しっかり確認しておきましょう!
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3. 2割納税の翌年、「簡易課税にする」申請期限は年度末…のはずだった
勘のいい人なら気づいておられるはずです。
この2割の納税でいいという「2割特例」。
何かに似ていませんか?
そうです。ずっと前から認められていた
簡易課税という納税方式です!

なので一定規模以下の会社・個人事業主にとっては
しばらくの間だけ、この3つの中から
「一番消費税が安くすむ方法」を
選べる状態になっているということなんです。

ここで注意。
簡易課税という方式を今から選ぶという場合。
締切日までに届出をしないと選べないんです。
期間限定で設けられた2割特例を使う場合は
「事前の届出」は不要です。
申告書に「特例使います」と書くだけです。
一方で、簡易課税という方式を選ぶ場合は
「この年度は簡易課税で消費税計算したい!」
という年度が始まる前の日が届出の締切です。
ただ、このままだと、こうなってしまいます。
↓ ↓ ↓
2割特例を選ぶタイミング
⇒年度終わって申告書出すとき。
簡易課税を選ぶタイミング
⇒年度が始まる前!
これはさすがに2割特例を選んだ事業者さんには
配慮しないといけませんよねということで
2割特例を選んだあと、スムーズに簡易課税を
選べるようにと「期間限定」でこうなってました。
↓ ↓ ↓
2割特例を選ぶタイミング
⇒年度終わって申告書出すとき。
簡易課税を選ぶタイミング
⇒年度が終わる直前。
※2割特例を選んだ年度の「次」の年度を
簡易課税にしたいとき限定です!
簡易課税って年度が始まる直前に選ぶのが
大原則ですので、これだけでもかなりの配慮でした。
そして今回、この期間限定の配慮が
”もっと優しく” なりました。
↓ ↓ ↓
2割特例を選ぶタイミング
⇒年度終わって申告書出すとき。
簡易課税を選ぶタイミング
⇒年度終わって申告書出すとき。
※くどいようですが大事なのでもう一度。
2割特例を選んだ年度の「次」の年度を
簡易課税にしたいとき限定です!

(出典:国税庁「インボイス制度に関する令和8年度改正について」より)
ただ、この簡易課税制度というのはいったん選ぶと
「2年間続けないといけない」
ものですし、他にも様々な注意点があります。
この記事を読んで「!」と思ったら、
まずは顧問税理士に相談して下さい。
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4. 複雑化した消費税処理はクラウド会計で乗り切ろう
魔改造ですか?と言いたくなるくらいの消費税。
配慮してくれるのはいいけれど
経理の手間は爆増じゃないのかと思いませんか?
もちろんです!
クラウド会計でこんな風に「自動判定」する仕組みが
あるからかろうじて少しは救われている感じです!

現在の主要なクラウド会計ソフトでは、
領収書は画像の自動判定で認識。
インボイス番号があれば読み取り。
当然、読み取りエラーなどもありますし、
「そもそもこれは経費なのか」という場面もありで
人間じゃないと分からない場合が山ほどあります。
でも、使えるものは使って楽をしましょう!
そして読み取った先の判断・分析に人間が
時間を使うというのが大事です。
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5. そもそも「デジタルインボイス」が普及すれば爆速?(普及すればね)
5-1.現状
なぜ「デジタルインボイス」が普及したら
このブログで書いている消費税のややこしさが
爆速なのでは?と思うのかといいますと。
ざっくり分かりやすく言えば、こういうことです。
【現在のワークフロー】
取引先がそれぞれの様式で作った請求書を
紙またはPDF等で受け取る。
それを会計ソフトに人間が入力する。
(またはクラウド会計で読み取る)
【デジタルインボイスのワークフロー】
取引先が全員同じ方法で作った請求情報を
データで受け取る。
それを自社システムや会計ソフトに取り込む。

(出典:国税庁「デジタルインボイス?」参照)
デジタルインボイスは請求書というよりも
「請求情報」だと思えばイメージしやすいです。
対応システム同士なら請求情報を発行した瞬間、
システム側へデータが届きます。
そして自動で「こんな仕訳届いてますよ」と
いう状態まで作成してくれるようです。
(※かなりおおざっぱに言えばこんな感じ)
ただ、現状ではまだまだ普及していない感じです。
対応システム同士じゃないと意味がないからです。
自社で対応済みでも取引先が未対応な場合、
「デジタル」と「紙orPDF」の両方
を運用しないといけない。少なからず混乱します。
それにですね。
例えば請求書システムだけは統一化されたとしても
会計システム側でも、そのデジタルインボイスに
対応して、正しく消費税の金額・区分・税率を
読み込まないといけません。
ハードル高そうですね。
でも、普及すれば便利そう!です。
5-2. 他の国ではどうなのか
ここで、実体験にもとづく余談をひとつ。
ちょっと実務色の強い話なので
興味のある人だけ読んでみてください。
さっき私、こんなことを言いましたよね。
↓ ↓ ↓
例えば請求書システムだけは統一化されたとしても
会計システム側でも、そのデジタルインボイスに
対応して、正しく消費税の金額・区分・税率を
読み込まないといけません。
↑ ↑ ↑
これは、日本では請求書システムだけではなく
会計システムの中で「勘定科目」などとセットで
消費税の区分や税率などの登録が必須だからです。
そういう登録がされていることを前提に、
会計ソフトで消費税の納税額を計算して
申告書を作って、税務署に提出しています。
外国では請求書(請求情報)にある消費税情報を
その請求書から直接、ピックアップして
消費税の納税額を計算する場合もあります。
※日本以外の国すべて、ではありません。
この場合、会計ソフトで勘定科目などの「仕訳」に
消費税のことまで事細かに入力・登録するという
発想そのものがないんです。
実際、弊社ではこの
消費税集計方式の「発想の違い」
で、何度か苦労しております。
とある欧州地域のクライアントとのやり取りでは
日本の会計ソフトを使っていません。
現地の経理担当が選んだ会計ソフトを使うと
項目名からすべて英語なので、お客様にとっては
ストレスフリーで入力できるからです。
※ブラウザ翻訳で日本の会計ソフトを使うという
手もありますが「漢字表記」が残ってしまうので。
で、日本の税務署へ消費税申告という場面。
「勘定科目別に消費税確認したい」となった時。
この会計ソフトで仕訳一覧を見ても、消費税の
区分や%などの情報は表示されません。

なぜなら、この会計ソフトを選んだ国の人にとって
「消費税の税区分」などというものは
インボイス(請求書)から直接確認するものなので、
わざわざ総勘定元帳や仕訳帳といった「帳簿」に
表示する必要がないからです。
もちろん、外国の会計ソフトでも科目名の工夫や
その他のカスタマイズをすることによって
勘定科目別の消費税区分一覧表を出すことが
可能なものもあります。
これから外国の会計ソフトでお客様と
やり取りされるという方々へ。
ぜひ!こういう事態を念頭において
導入されることをお勧めします。
ただ、外国親会社の日本法人などは
会計ソフトの選択余地なんて無いという場合も
多いので、そういう時は日本側での税務調査の際に
説明できるよう、個別ケースに応じて対応せざるを
得ないのかなと思っております。
(個人的経験から来る感想です。すみません。)
最後にちょっとした現場の声(願望)も
書き連ねてしまったので長くなりました。
すみません。
1つ1つの消費税の改正そのものは小さいものでも、
その積み重ねで消費税実務は年々複雑化しています。
だからこそクラウド会計やAIの活用など
「脱・手入力」という変化が今後ますます重要に
なってくると確信しております。
今日は最後までお読み頂きありがとうございました。
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